伝統文化や言語が消滅の危機にある北東シベリアの少数民族、ユカギール人をご紹介します!
ユカギール人(Юкагиры)
ユカギール人はロシアの北東シベリアの少数民族。
ロシアでの総人口は1,597人。そのうち約79%の1,267人がサハ共和国に暮らしています。(2010年の統計より)
ユカギール系の民族で、宗教はロシア正教と伝統宗教。17世紀半ば以降ロシア正教が広がっていきましたが、伝統宗教も残っているそうです。
ユカギール人は北東アジアで最も古い民族の1つだと考えられています。
ユカギール人の歴史
ユカギール人は周囲の民族とは孤立した言語、人種的に孤立した民族であることが特徴です。近隣のツングース系民族(エヴェンキ人、エヴェン人)とも異なった遺伝子を持っています。
7000年前には既にエニセイ山脈の東側からサヤン山脈にかけての地域に暮らしていたと考えられています。
その後、現在から1000年~2000年前の期間にエヴェンキ人やエヴェン人が、12~14世紀にかけてサハ人が東北方面に移動。その結果、ユカギール人の居住域は縮小し、一部がこれらの民族に同化したと考えられています。
17世紀半ばにはロシアがユカギール人が暮らしていた地域に進出し、その支配下に入りました。当時、ユカギール人はいくつかの部族に分かれており、その人口は4,500人~5,000人くらいだったとされています。
その後、ユカギール人はロシアのコサックによる弾圧や、サハ人、エヴェン人、コリャーク人、チュクチ人との軍事衝突、1669年と1690年の天然痘の大流行により17世紀末には人口が2,535人にまで激減しました。
人口減少はその後も止まらず、18世紀前半には約1,400人~1,500人、1897年には948人、1926年には400人以下にまで減少しました。
その後、1970年代からは人口は上昇傾向にあり、現在に至ります。
ユカギール人小話
ユカギール人の伝統文化や言語は、現在絶滅の危機に瀕しています。
2011年のユカギール人への現地調査によると、
- 伝統的な経済活動に従事している人は確認できず。(ときどき狩猟や漁をしていると答える人はいた。)
- インタビューを受けた人のほとんどが、民族固有の風習や民俗学を知らない。
- インタビューを受けた老人も民話を覚えていない。登場人物の名前だけは覚えていた。
- 調査した69人のうち、ユカギール語を話せるのはたったの6人。
などの結果が出たそうです。
1992年に、ユカギール人の長老評議会と民族復興基金が設立されているそうなのですが、あまり機能していないのでしょうか…。
ユカギール人の文化や言語が絶滅することなく、後世に残っていくことを祈るばかりです。
以上、ユカギール人の紹介でした!
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