むかいひろきのロシア・ブリヤート共和国情報局

ロシアやブリヤート共和国に関する情報を中心に発信しています。ブリヤート共和国で日本語教師として2018年8月~2020年7月まで勤務。2022年夏より同地に渡り再就職した日本語教師のサイトです。

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本当はどんな所?ロシアのブリヤート共和国について現地在住日本人が解説

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2022年現在、日本でどちらかというとマイナスのニュアンスで話題になることが多い、ロシアの「ブリヤート共和国」。日本やそのソースとなっている欧米の報道では、「貧しい」だとか「○○がない」とか、有ること無いこと色々言われておりますね…。(流石に誇張された情報が独り歩きをしてしまっている部分もあります。)

この記事では、ブリヤート共和国の首都であるウラン・ウデ市に住む筆者が、そのウラン・ウデ市を中心に、ブリヤート共和国について解説します。忖度は一切ありません。

 

ブリヤート共和国の場所

まずはブリヤート共和国の場所を確認しましょう。
ブリヤート共和国は、ロシアの東シベリアに位置し、モンゴルと国境を接しています。

ブリヤート共和国の面積は351,334 km²。これは日本の面積(377,975 km²)よりやや小さいくらいです。

三日月の形をした白い部分は、ロシアが誇る世界自然遺産のバイカル湖。ちなみに、首都のウラン・ウデ市は以下の赤い点の部分です。

Andrzej Barabasz (Chepry) - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=955217による

ウラン・ウデ市からバイカル湖へは、目的の地点にもよりますが、車で最低でも約2時間はかかります。
なお、このウラン・ウデ市へは、2022年10月現在もモンゴルの首都ウランバートルからの直行便が就航しており、ウランバートル~ウラン・ウデ間を約1時間で結んでいます。ウクライナ情勢の影響や新型コロナウイルスの影響が出る以前は、中国や韓国の都市からも直行便が出ていました。また、モンゴルの首都ウランバートルへは、ほぼ毎日バスも運行されています。こちらは所要12時間とのことです。

バイカル湖。冬は対岸同士を結ぶ臨時の道路も氷上にできる。

 

ブリヤート共和国に暮らす人々

ブリヤート共和国の人口は、最新の2022年の情報では98万2629人。(千葉市とだいたい同じくらい)ちなみに、ブリヤート共和国の人口の約44%にあたる43万6406人が首都であるウラン・ウデ市に暮らしています。

そしてブリヤート共和国にはロシア人をはじめ、様々な民族が暮らしています。2010年の公式情報とやや古いですが内訳は次の通りです。(ブリヤート共和国公式サイトの情報参照)

  • ロシア人…66.1%
  • ブリヤート人…30%
  • ウクライナ人…0.6%
  • その他…3.3%

その他にはエヴェンキ人やサイオート人などが含まれています。

「ブリヤート共和国」は、その名の通りブリヤート人が”基幹民族”の共和国ですが、暮らしている民族はロシア人が多数派です。ロシア人とブリヤート人の混血の人も見かけます。

ブリヤート人やエヴェンキ人についての詳細な情報は、以下のリンクをご覧ください。

www.hiroki-ru.work

www.hiroki-ru.work

なお、ブリヤート人の多くが信仰している宗教はチベット仏教。よって、ブリヤート共和国内にはチベット仏教の寺院が多数存在しています。

ロシア仏教の総本山と言われるイヴォルギンスキー・ダツァン

雪原に仏像が点在するアツガツキー・ダツァン

 

ブリヤート共和国の経済状況

次に、ブリヤート共和国の経済状況を見ていきましょう。

ブリヤート共和国に暮らす人々の平均月収は、求人情報をもとに調査したサイトでは、2022年9月は5万8947ルーブルとのこと。ちなみにモスクワは6万7787ルーブルです。
ただ、この情報についてのSNSのコメントは、「どこのブリヤート共和国だよ」「俺が住んでいるのと別のブリヤート共和国だ」といったコメントであふれていたため、実際はもっと安いと思います。なお、最高値と最低値を考慮しない場合の平均値は約3万ルーブルとのこと。おそらく体感からもこの辺りが平均だと思います。

モスクワなどの西側の都市部と比較すると、収入が少ないことは間違いありません。ただその分、他の都市と比較すると物価は安いです。

 

経済済制裁の影響は?

以下は主観的な情報になりますが、経済面における制裁の影響にも触れておきましょう。
前回赴任時に比べて、全体的にやや物価が上がっている印象です。特に白いコピー用紙はかなり値上がりしています。ただ、食料品の値段はあまり変わっておらず、特に肉類は低価格のままなので、助かっています。電化製品は中国製のものが広く流通しており、以前よりは値上がりしてはいるものの、そこまで大幅ではありません。

経済制裁の影響については、こちらの記事も合わせてご覧ください。

www.hiroki-ru.work

誇張された報道や情報に対する反論

また、一部の西側諸国の報道やネットの情報では「水洗トイレがない」「電子レンジがない」「冷蔵庫がない」など言いたい放題言われていましたが、通常の家庭や施設ではあります。相当な田舎の家の場合は汲み取り式のトイレの場合もありますが、「水洗トイレを使用したことがない」などというのは、まずありえないでしょう。
ちなみに、日本以外の多くの国と同様、トイレットペーパーを流すのは避けた方がいいです。詰まって大変なことになります…。

 

ブリヤート共和国の気候

ブリヤート共和国の気候は、東シベリア地域に位置していることもありなかなか厳しいです。ここでは、私が住んでいるウラン・ウデ市を中心に見ていきましょう。

ウラン・ウデ市が最も寒いのは1月。平均気温は-23.3度(平均最低気温は-27.6度、平均最高気温は-17.9度)です。11月~3月にかけては、平均気温が氷点下を下回っています。平均最低気温については、10月~4月までが氷点下です。
一方で、夏は比較的暑く、6月~7月にかけては最高気温が30度を超えることも珍しくありません。ちなみに最も暑いのは7月で、平均気温19.8度(平均最低気温10.5度、平均最高気温26.6度)となっています。

ウラン・ウデ市では11月ごろになると川が凍りだす。12月~2月は問題なく歩くことができる。

ただ、一言でブリヤート共和国と言っても日本よりやや小さいくらいの大きさのため、場所が変われば気候も違います。北部は9月半ばの時点で初雪のニュースが出ることも珍しくありません。一方で、南部がウラン・ウデや北部と比べてとても温暖…ということはありません。

 

ウラン・ウデ市の街並み

ここではブリヤート共和国の中心地、ウラン・ウデの街並みを見ていきましょう。ウラン・ウデ市は東京のような超高層ビルはありませんが、ロシアの中では建物が比較的密集している町だと思います。

勤務先から撮影した中心部の劇場広場の様子。イベントがよく行われる。

最も中心部のソビエト広場付近。政治的なイベントはこの広場で行われる。普段は市民の憩いの場となっている。

最近は高層マンションの建設が増えている。

私の家の近く。秋は葉が黄色に染まって綺麗。

山の上のお寺から市内を一望。中心部はマンションやアパートが多いが、中心から離れるにつれて一軒家が増えてくる。

おわりに

本来であれば、ブリヤート共和国の地方部分まで含めて状況をお伝えできれば良かったのですが、地方滞在経験が少ないため、詳細な記述は控えました。ただ、少なくとも日本の一部報道やネットで噂されているような、「○○がない!」ずくしではありません。

地方は自然が綺麗。畜産農家が多く、ブリヤート共和国内で多くが地産地消されています。

現在の情勢について、健全な批判や非難はあってしかるべきです。ただ、虚構や誇張に基づいた批判や非難は、新たな争いの火種にしかなりません。このような状況でロシアについて発信するのは勇気が必要ですが、今後も少しずつ発信していきます。よろしくお願いいたします。