むかいひろきのロシア・ブリヤート共和国情報局

ロシアやブリヤート共和国に関する情報を中心に発信しています。ブリヤート共和国で日本語教師として2018年8月~2020年7月まで勤務。2022年夏より同地に渡り再就職した日本語教師のサイトです。

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経済制裁を受けてのロシアの現状・影響を簡単に分かりやすく解説!現地在住日本人の所感

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ご無沙汰しております。むかいです。

今回は「ロシアに対する経済制裁を受けての現地の様子・変化」を記していきます。

なお、今回私が記すことは、それ以上でもそれ以下でもありません。あくまで現地在住の日本人として体感したことのみです。経済制裁の成否について述べるつもりも、経済制裁の是非について述べるつもりも毛頭ありません。くれぐれも、自身の書いていないことを勝手に読み取らないよう、よろしくお願いいたします。

 

そもそもロシアへの経済制裁とは

2022年2月24日から開始されたロシアのいわゆる「特別軍事作戦」。この開始直後から、日本やアメリカをはじめとした西側諸国はロシアに様々な経済制裁を科しました。

ロシアへの経済制裁は「金融規制」や「ロシアへの輸出規制」など多岐に及びます。たとえば「金融規制」では、日本や欧米はロシアの多くの銀行をSWIFTという国際的な決済ネットワークから排除したり、ロシア中央銀行の資産を凍結したりしました。「輸出規制」では、ロシアへの半導体やハイテク製品の輸出や、高級品の輸出が制限されています。 

ロシアに対して具体的にどのような経済制裁が行われているかは、NHKのリンクが参考になります。

www3.nhk.or.jp

現在はこの時点よりも制裁がさらに追加されていますが、とても分かりやすいです。さらに詳細が知りたい方は、経済産業省が随時内容を更新していますので、以下をご覧ください。

対ロシア等制裁関連(METI/経済産業省)

 

このような国家が行う制裁以外にも、VISAやMastercard等のカード会社がロシアの資格を停止したため、ロシアで発行されたVISAやMastercardがロシア国外で使用できなかったり、反対にロシア国外で発行されたクレジットカードやデビットカードがロシアで使用できなかったりという事態も発生しています。

 

そんな経済制裁の現地市民への影響は?

上記のように幅広く行われている経済制裁ですが、実際に現地の一般人目線ではどのような影響があるのか、これから示していきます。

なお、これからここに記すことはあくまで私の体感であり、私が感じることができた範囲での事です。ロシアでもほかの地域では全く異なる様子かもしれません。あくまで一つの事例としてご覧ください。

日常生活における影響

私はロシアのブリヤート共和国ウラン・ウデ市という、シベリアの中規模程度の地方都市に暮らしていますが、経済制裁による大きな影響は今のところは感じられません

スーパーでの物不足は現状なく、日用雑貨はかつて西側諸国製のものが主流だったもの(柔軟剤等)も、ロシア製や中国製、その他の制裁に参加していない国の製品に切り替えが進んでいます日用品の大幅な値上がりも現状はありません

ただ、日本でも報道されていたように、紙不足はある(あった)と思います。特に私がロシアに戻ったばかりの9月はコピー用紙の値段が高かったです。ただ、2023年1月現在、以前よりは値段も落ち着きつつあり、勤務先の大学等でも紙をこれまで通り使用しています。レシートに使用される紙も、2022年9月ごろまでは店によっては「レシートを出せない」と言われることがありましたが、10月以降はなくなりました。

現状では、経済制裁により日常生活に大きな影響を受けている人は、西側諸国に関連した仕事に就いている人がほとんどだと言えるでしょう。(上記に記した通り、経済制裁により決済手段が大幅に制限されているため)

 

ただ、一部報道では製造業において西側諸国からの輸出規制の影響が出ていると言われています。今後製造業への制裁の影響が、庶民の日常生活に響いてくる日も遠くないかもしれません。

 

ハイテク製品はどうなのか?

先述の通り、ロシアへのハイテク製品の輸出は西側諸国では大幅に規制されています。ただ、現状では制裁を第三国経由等ですり抜けてきたApple社製の新製品が高額ながら流入していたり、中国製品が盛んに売られていたりするなど、一応は影響を感じることは少ないです。

ロシアの大手携帯会社Мегафонでは、Xiaomiのスマートフォンを購入した場合、もう1台を無料でプレゼントするというキャンペーンが12月31日まで行われていた。中国製品に関しては盛んに流入し不足はないと見受けられる。

ただ、今後ハイテク製品にはさらなる規制がかけられたり、ロシアに元々ある在庫が切れてしまったりした場合に、新規製品が購入しにくくなる可能性は十分に考えられます。

 

インフラ関連への影響

ロシアは元々インフラ関連のトラブルが多い国です。施設修理のための計画停電や給湯設備の停止などは「特別軍事作戦」開始以前から多々ありました

 

私がウラン・ウデ市に暮らすのはこれで2回目です。前回は2018年8月~2020年7月まで、そして今回2022年8月~です。前回滞在時には約2年間で1度も経験しなかった停電ですが、今回は既に2度ほど経験しています。特に1月2日のものは規模が大きく、長時間にわたり停電だけでなく給水や給湯が止まった地域もあったようです。

arigus.tv

この停電等のインフラ関連のトラブルの原因が経済制裁であるとは断言はできません。ロシアの他地域では、メンテナンス要員が部分動員令により動員されてしまったため、メンテナンスが行き届いていない…という報道も出ています。そもそも普段のメンテナンスも(以下省略)

ただ。前回2年間で1度も経験しなかった停電を約4か月の間に2回経験しているということは、インフラ関連で問題が起きているということ自体は間違いではないでしょう。今後もインフラ関連のトラブルが続くようであれば、制裁の影響が出ていると言っても過言ではないと思います。

 

一方で、普段の町では電力不足などに陥ることはなく、夜はイルミネーションが遅くまで町中いたるところで点灯しています。イルミネーションの規模は前回滞在時より大きくなってますね…。

 

制裁関係なし?日本の中古車が続々…

一方で、「あれ、経済制裁中じゃなかったっけ?」と不思議に思ってしまうのが日本の中古自動車。中古自動車は価格によっては制裁の対象外となり、つい先日まではルーブル高と円安の影響で、これまで以上にロシアで日本の中古車の輸入が進んでいました…。こちらはNHKでもニュースになっていましたね。

www3.nhk.or.jp

私も2022年の9月~12月にかけて、3人の同僚や知り合いから購入した中古日本車の仕様書の翻訳を頼まれました。家の近所の車販売店でも、2022年秋以降に日本から輸出された中古自動車が数多く展示されています。身近でも「日本車の輸入が盛んだな」と思える出来事が多かったですね。

 

まとめ

ここまで、対ロシア経済制裁について自身の所感をまとめてみました。正直なところ現状では日常生活を営む上で、日本への・日本からの送金が平時よりも難しくなっていること、日本発行のクレジットカードが使用できないこと以外は私もあまり影響を感じていません。(送金の複雑化やクレジットカードの使用不可は私個人レベルの経済的には厳しいですが…。)

現地の人は尚更のことで、特に西側の外国人や外国と日常的にお付き合いがあるような仕事についている人以外は、現状では制裁の影響は感じづらいのかもしれません。

 

ただ、ここまで述べたことはあくまで現状です。今後一般庶民にも大きく影響が出る可能性は十分にあると言えます。その場合、私の生活にも変化は出てくるでしょう。油断せず、状況を注視していきたいです。