今日は数々のテュルク系民族の中でも最近に成立した民族、ドルガン人を紹介します!
ドルガン人(Долганы)
ドルガン人はロシアのシベリア、クラスノヤルスク地方を中心に暮らす民族。
ロシアでの総人口は7,885人。そのうち約74%の5,805人がクラスノヤルスク地方に、1,906人がサハ共和国に暮らしています。(2010年の統計より)
テュルク系の民族で、宗教は伝統宗教とロシア正教。現在はこの2つの信仰は融合しているようです。
ドルガン人の歴史
ドルガン人の民族形成はかなり最近になってからです。
すでにシベリアや極東一帯がロシアの支配下に入ってからの話です。
19世紀、レナ川やオレンク川の流域からサハ人の一部が、現在のクラスノヤルスク地方内のトゥルハンスク地区に移住しました。
そこで移住してきたサハ人と、現地のエヴェンキ人やエネツ人が混血して新たな民族が生まれました。それがドルガン人です。※エネツ人については後日記事を書く予定です。
ドルガン人は19世紀後半~20世紀初頭にかけて民族として成立したと考えられています。
(なぜサハ人の一部が移住したのか、なぜ現地民族と混血したのかについては、資料を見つけられませんでした。申し訳ありません。)
1935年に「ドルガン・サハ(Долган-саха)」という民族名で、公式に民族として認められました。
ただ、その後も1939年の国勢調査ではサハ人としてカウントされ、1959年の国勢調査でも公表当初はサハ人としてカウントされていました。1959年の国勢調査の数回目の公表以降、独立した民族としてのカウントも定着していったようです。
ドルガン人小話
ドルガン人の伝統的な生業はトナカイの牧畜でした。他に狩猟と漁業を生業としていました。
トナカイの放牧はエヴェンキ人やネネツ人のやり方と類似していました。
トナカイに鞍をつけることや、トナカイの乳しぼりの方法はエヴェンキ人の、ソリを使った牧畜方法や犬を活用した牧畜はネネツ人のやり方を模倣したと考えられています。
狩猟ではトナカイの他に毛皮を持つ動物を狩っていました。その際に近隣の民族を参考にし、ユニークな狩猟方法を編み出しました。毒入りの弾丸が入った猟銃や、特別に飼育した囮の鹿を使った狩猟…などなど。
ドルガン人の伝統的な住居はネネツ人などと同様のチュム(Чум)と、バラガン(балаган)という、住居の下にソリをつけてトナカイを使って移動できるタイプの住居がありました。
ドルガン人は近隣の民族の影響を強く受けつつも独自の文化を創造した、新しい民族のようですね。
以上、ドルガン人の紹介でした!
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