カムチャッカ半島に古くから暮らす先住民族、アイヌ人とも交流があったイテリメン人を紹介します!
イテリメン人(Ительменцы)
イテリメン人はロシア極東部カムチャッカ半島の先住民族。日本語では「イテリメン族」と呼ばれることも多いです。
ロシアでの総人口は3,193人。そのうち約74%の2,361人がカムチャッカ地方に暮らしています。(2010年の統計より)
チュクチ・カムチャッカ系の民族で、宗教はロシア正教か伝統宗教。ロシア帝国植民地時代の1720~1740年代にかけてロシア正教への改宗が行われました。
イテリメン人の人口分布図。緑が濃いほど人口に占めるイテリメン人の割合が大きい。
Автор: на основе карты https://n-avdeev.livejournal.com/3495.html - сам нарисовал, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=42551463
イテリメン人の歴史
イテリメン人の祖先は約1万5千年前にはカムチャッカやその周辺に定着したと考えられています。
アイヌ人やエスキモー、現在アメリカ領アリューシャン列島を中心に暮らすアリュート人などが混血して民族として成立したと考えられています。
また、アイヌ人とも交易などの交流があったとされています。
ロシア人がイテリメン人の存在を正式に認識するのは17世紀以降で、17世紀末に約1万3千人のイテリメン人が暮らしていたという記録が残っています。
18世紀からはロシアによるイテリメン人が暮らしていた地の植民地化が始まり、イテリメン人が暮らすための村がコサックによって割り当てられていきました。
ロシアによる激しい植民地化の影響で、イテリメン人の数は18世紀末には約3千人にまで減少しました。
ソ連時代にはロシア人の植民がさらに加速。伝統的生活の破壊やロシア人との同化も進み、イテリメン人は1959年の人口は1,100人程度にまで減少しました。
ただ、その後イテリメン人の文化や伝統、暮らしを見直す動きが出て、1989年には人口約2,500人にまで回復しました。
近年はイテリメン文化を見直し再興する動きがさらに加速しています。
イテリメン人小話
イテリメン人の伝統的な生業は海や川での漁業でした。サケやメバルなどを食料として捕獲していました。イテリメン人の伝統的な漁の方法は網を使った漁で、網を海に仕掛け、後で回収する方法です。
アザラシの狩猟も同様に網を使って行われていて、肉は食用や犬の飼料に、毛皮は衣類や生活用品に使われていました。
陸上での狩猟も行われていましたが、漁業がメインで、こちらは副次的な役割だったようです。
なお、現代においても、漁業はイテリメン人の主要産業の1つとなっています。
以上、イテリメン人の紹介でした。
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