「どうすればロシアで日本語教師として働けるか」
について今までに何度かお問い合わせをいただきました。そこで今回、自分の経験や見聞を踏まえてまとめていきます。ご参考になれば幸いです。
(一部、詳細を明かすことができない箇所がありますが、ご理解願います。)
ロシアの日本語教師の雇用形態
ロシアで働く日本語教師には、大きく分けて2つの雇用形態があります。
1つは「日本の機関からの派遣」、もう1つは「現地採用」です。
日本の機関からの派遣
ロシアに日本語教師を派遣している機関は2つあります。「日露青年交流センター」と「国際交流基金」です。
国際交流基金からの派遣の場合は、「日本語専門家」「日本語上級専門家」のどちらかでの派遣となります。
どちらの機関の場合も、日本の機関から滞在費や渡航費の支給を受けつつ、ロシアの大学からもお給料をもらう形になります。
機関からの滞在費は、現地での生活には十分で、任期終了後の再就職までの日本での生活を考えても余裕がある額です。(詳しい額は後述のリンクをご参照ください。)
住居は基本的に現地教育機関から提供されたところに住みますが、自身の責任で他の部屋を借りることはできます。(ロシアの部屋なので、質の面はご察しください。)
海外旅行保険や緊急時の補償制度なども、派遣元が提供するものに自己負担なしで加入するか、少額を負担するかのどちらかです。
日本からの派遣の場合は任期があり、日露青年交流センターからの場合は最長3年、国際交流基金からの場合は原則2年(場合によって1年の延長の可能性あり)です。
はじめてロシアで日本語教師として働く場合や安定性・安全性を考えた場合は、日本の機関からの派遣が最善の手段だと思います。
応募条件や採用試験等の詳細は下記リンクをご覧ください。
参考リンク
国際交流基金 - 2021年度海外派遣 日本語専門家 公募のお知らせ
現地採用
現地採用は、日本の機関を通さずに現地の教育機関と直接雇用契約を締結する形です。
ただ、日本にロシア国内の日本語教師の求人情報が届く数はとても少なく、ロシアに何もコネクションがない状況では現地採用はほぼ不可能といっても過言ではないと思います。
ここに求人が書かれることもあるのですが、2018年以降はありません。
現地採用で働いている方の多くは、ロシア人と結婚して暮らしていたり、過去にロシアに留学・就労した経験があるため大学とつながりがあったり…といった方が多いです。
簡潔に言えば、「コネがない状況で現地採用はかなり難しい。」ということですね。
また、現地採用の場合は金銭面でかなり厳しい状況になります。原則、ロシアの大学教員の給与は安いため、他に何らかの収入源を確保する必要があります。
住居も自分で探さなければならなかったり、様々な交渉を自力でする必要があったりするなど、派遣で行く場合よりも自己責任・サバイバルの要素がとても強くなります。ロシア語力の必要性も日本からの派遣よりさらに高まると思います。
ロシアで必要な日本語教師としての資格・条件
現地の教育機関によっても、雇用の形態によってもやや異なります。
まず、大学や大学院で働きたい場合、修士号がほぼ必須です。
これまでは4年制大学卒の学士でも問題がなかったのですが、ロシアの法律が変わり、大学・大学院で教師になる場合は修士が要求されるようになりました。
この「修士必須」の法律は当初は外国人には適用されていなかったのですが、ここ数年で適用するところが増えてきました。そのため、大学で働くことを考えている方は修士号の取得を考えた方がいいです。
次に雇用形態ごとに説明します。
まず、日露青年交流センターからの派遣の場合…
- 大学の主専攻または副専攻で日本語教育を専攻(該当年度3月修了見込み含む)
- 日本語教師養成講座(420時間以上)を修了
- 日本語教育能力検定試験に合格
のうちのいずれかを満たしている必要があります。日本国内の日本語学校で日本語教師として認められる資格と同じですね。(派遣応募のためにはほかにも条件があります。)
国際交流基金からの派遣の場合、「日本語上級専門家」と「日本語専門家」でやや異なるのですが…
- 日本語教育関連の分野で修士号以上
- 日本語教育経験(上級専門家の場合は10年以上、専門家の場合は2年以上。海外経験が望ましい。)
など、これらすべてを満たす必要があります。(派遣応募のためにはほかにも条件があります。)
次に現地採用の場合、
- 大学の主専攻または副専攻で日本語教育を専攻(該当年度3月修了見込み含む)
- 日本語教師養成講座(420時間以上)を修了
- 日本語教育能力検定試験に合格
のいずれかが必要になる場合がほとんどです。それに加えて先述した通り大学では修士以上、専門学校や日本語学校の場合でも短大卒や専門学校卒が最低限必要になってきます。
※上記の資格に関連してですが、現在文部科学省が「日本語教師の国家資格化」に向けて動き出しています。コロナ禍でややスピードが落ちているようですが。
日本語教師が国家資格化した場合は、おそらくその国家資格がロシアで働くためにも必要になると思います。このあたりは情報を入手次第更新します。
おわりに
以上、「ロシアで日本語教師として働くには」どんな方法があるか、どんな条件が必要かについてまとめてみました。
まずは日本からの派遣でロシアで働き、その間にコネクションを作り、再度ロシアで働きたい場合はそのコネクションを利用してロシアに戻る…という形がベターなのかもしれません。
ご質問があればいつでもご連絡ください。
むかいひろき🇷🇺ウラン・ウデに戻るため頑張る院生🐯 (@hiroki_ru_th) | Twitter
上記TwitterのDMが一番反応が早いです。
また、自身がロシアで日本語教師になるためにどのようなことをしたのかは、こちらをご覧ください。