今回は、以前にこのブログで書いたことがある『ロシアの中の共和国』について、まとめなおしてみました!
ロシアの共和国の概観から、実際に暮らしてみての感想をまとめてみました。
ロシアの共和国の位置づけ
まずはロシアの共和国の位置づけから。
ロシアは85の連邦構成主体という地方行政組織から構成されています。
その連邦構成主体の内訳は…
- 州(46)・・・日本の都道府県と似たような組織
- 地方(9)・・・日本の都道府県と似たような組織
- 連邦市(3)…モスクワ、サンクトペテルブルク、セヴァストーポリの3つ。東京特別区部のような組織
- 共和国(22)・・・少数民族による自治が行われている。
- 自治州(1)・・・少数民族による自治が行われている。
- 自治管区(4)…少数民族による自治が行われている。
となります。
ちなみに民族自治の度合いを不等号にすると・・・
共和国 > 自治州=自治管区 > 州=地方 ≧ 連邦市
といった感じでしょうか。(これは個人の印象です。)
また、2000年以降はこれらの上に連邦管区というものが置かれるようになりました。管区内にある連邦構成主体を監督する組織で、日本でいえば関東地方や九州地方といった地方に政治組織がある感じでしょうかね。
ロシアの共和国一覧
ここでは地図上にロシアの共和国をまとめてみました。
- アディゲ共和国
- アルタイ共和国
- バシコルトスタン共和国
- ブリヤート共和国
- ダゲスタン共和国
- イングーシ共和国
- カバルダ・バルカル共和国
- カルムイク共和国
- カラチャイ・チェルケス共和国
- カレリア共和国
- コミ共和国
- マリ・エル共和国
- モルドヴィア共和国
- サハ共和国(ヤクート共和国)
- 北オセチア共和国
- タタールスタン共和国
- トゥヴァ共和国
- ウドムルト共和国
- ハカス共和国
- チェチェン共和国
- チュヴァシ共和国
- クリミア共和国(※)
※クリミア共和国は、国際的にはウクライナの領土とされています。
ちなみに、各ロシアの共和国にどんな民族が住んでいるかは、こちらの記事をご参照ください。
ロシアの共和国を理解するためのポイント
ここでは、箇条書きでロシアの中の共和国のポイントをまとめます。
- 独自の公用語、憲法、議会を持つことができる。
- 共和国のトップは「首長」や「代表」と呼ばれ、連邦政府から任命される。(以前は「大統領」と呼ばれていたが、2011年に禁止された。)
- 外交権は持たず、ロシア連邦政府が保持する。
- 〇〇共和国 の〇〇の部分は共和国を自治する民族名が入る。その民族は基幹民族と呼ばれる。※
※…ダゲスタン共和国については、主に10の民族から構成され、それぞれが基幹民族扱い。
※22の共和国のうち、基幹民族が過半数以上を占めるのは…
チェチェン共和国(93.5%)
チュヴァシ共和国(67.7%)
ダゲスタン共和国(86.6 %)
イングーシ共和国(77.3 %)
カバルダ・バルカル共和国(67 %)、
カルムイク共和国(53.3%)
カラチャイ・チェルケス共和国(50%)
北オセチア共和国(62.7%)
タタールスタン共和国(52.9 %)
トゥヴァ共和国(77.0 %)…の10共和国。
それ以外は基幹民族の割合は50%以下。基幹民族の割合が1番少ないのはカレリア共和国の9.2%。
これだけ権限があれば、国の中の独立国のようなものなのか…と思われるかもしれませんが、実際は民族が異なる以外は、多くの共和国では日本の都道府県とそこまで大差がないと思います。
実際にブリヤート共和国に住んでみて
ここからは、実際にブリヤート共和国に住んでの実感をまとめてみます。
まず、結論から言うと…
ウラン・ウデ市の場合、共和国の実感はそこまでありません。
ブリヤート人が見た目で半分くらいいる以外、他のロシアの州や都市と何も変わりません。みんなロシア語を話しているし、テレビ番組もほかのロシアの州や都市と同じものをやっているし、そもそもロシア人も多いし…
自身の労働契約書も、「ロシア連邦憲法~条に基づき…」という表現は散見されましたが、「ブリヤート共和国憲法」といった文字列は一切ありません。
ただ、随所にここは「民族の共和国」なんだな、と思わせてくれることはあります。
たとえば、大学や行政施設の看板には必ずブリヤート語が併記されている点。
ブリヤート語については、こちらの記事もご覧ください。
そして何より、文化、風習、食べ物の点。
お寺があったり、旧正月の祝日があったり…これはブリヤート共和国ならではの点だと思います。
また、ブリヤート語で話をしている人を見かけることもあります。そのような時は、「ここは共和国なんだな~。」と実感できますね。
ただ、都市部ではブリヤート語を話せるブリヤート人がどんどん減っているという現実もあります…。
おそらくこの感想は、共和国内の地方に行ったり、基幹民族の割合が多い共和国に行った場合は違うものになると思います。
なのでいつか1度は共和国内の地方や別の共和国に行ってみたいですね。
おわりに
以上、『ロシアの中の共和国』についてまとめてみました!
最後に重要な(?)ことを追記しますね。
ロシアの中の共和国に入国する際、
特に手続きはありません。ロシア入国時の手続き以外に手続きは発生しません。(ロシアと他国との国境地帯や、外国人が原則入れない一部地域を除く)
たとえば、イルクーツク州からブリヤート共和国に入る際、検査などは特にありません。
なので安心して各共和国にご旅行ください。
それでは!